今回はメゾンミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)のスニーカーを紹介する。
実際に履いてみた感想やサイズ感についても載せているから、よかったら参考にしてみてほしい。

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メゾンミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)とは
メゾンミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)は、1996年に日本人デザイナーの三原康裕が立ち上げたブランド。
多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部在学中、なめし工場で革に関する知識を学んだ三原は、靴職人から靴を製作する技術を習得。
その後独学で靴を作り始め、1996年にオリジナル靴ブランド「archi doom(アーキドゥーム)」をスタートさせた。
その後1997年、多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部卒業し、シューズメーカー「EVOL」に参画。ブランド名を「archi doom」から「MIHARAYASUHIRO」に変更し、今の「メゾンミハラヤスヒロ」が生まれた。
2007年にコレクションの舞台をパリコレクションへ移し、世界で活躍する日本人デザイナーの1人となっている。
公式ECのトップページがスマホの画面みたいでかっこいい
「メゾンミハラヤスヒロ」の公式HPは非常に遊び心に優れたものとなっている。
スマホで公式HPにアクセスすると、iPhoneのホーム画面を彷彿とさせるデザインになっている。
ちなみに、パソコンでアクセスするとこうなる。
なんとも遊び心に富んだデザインと言えるだろう。
UIの観点では微妙だが、UXは最高に高い。
こういう細かい部分にまで「メゾンミハラヤスヒロ」のデザイナーズ精神が垣間見える。
メゾンミハラヤスヒロとマルジェラの関係
現在、三原氏は同ブランドの会長であり、社長は戸田俊昭氏。
この戸田氏が面白くて、彼は「Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)」などを日本で展開するスタッフ インターナショナル ジャパンでホールセールマネージャーを務めていた人物。
今回俺が紹介するスニーカーのデザインがどことなくマルジェラの雰囲気をまとってるのも、こうしたブランド背景があるからなのかもしれない。
例えば”汚れ加工”がされたスニーカーの雰囲気はまさにメゾンマルジェラの得意分野だったりする。
男心をくすぐるスニーカーの数々に、ついワクワクしてしまう。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーの特徴
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーの特徴は「オマージュ」と「違和感」だ。
公式サイトを見てもらえばすぐに分かると思うけど、「CONVERSE」や「NIKE」、「VANS」や「Reebok」など既視感であふれるラインナップばかりだ。
しかし、よく見ると”何かが違う”ことが分かるはず。
特徴的なオリジナルソール
一番わかり易いのは「粘土ソール」だ。
粘土ソールは、三原康弘氏自身が樹脂粘土を用いて手作業で成型した独特なシルエットのオリジナルソール。
ボリューム感のあるボコボコとした歪みが演出する”違和感”がたまらない。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカー【定番の人気モデル5選】
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーの中でも特に人気の定番モデルを4つと、2023年の新作を1つ紹介する。
”どこかで見たことがある定番スニーカー”の面影を残しつつ、ひと目で「メゾンミハラヤスヒロだ!」と分かるデザインがマジで秀逸。
人気の定番モデル1「ピーターソン(PETERSON)」

"PETERSON" OG Sole Canvas Low-top Sneaker
最も定番なのは、18AWコレクションから登場した「ピーターソン(PETERSON)」だ。
お察しのとおり、コンバースのオールスターをオマージュしたデザイン。
どこかで見たことがある「安心感」と、歪さ(いびつさ)や不完全さからくる「違和感」が共存している。
手作り感のあるシワシワなソールがたまらない。
人気の定番モデル2「ブレイキー(BLAKEY)」

"BLAKEY" VL OG Sole Leather Low-top Sneaker
直近で一番人気なのが「ブレイキー(BLAKEY)」だ。
こちらも粘土樹脂を用いて作られた不均一なソールデザインが特徴的。
言うまでもなく、アディダスのスーパースターをオマージュしたデザインだ。
人気の定番モデル3「ウェイン(WAYNE)」

"WAYNE" OG Sole Leather Low-top Sneaker
「ウェイン(WAYNE)」は2021年AWコレクションから登場した比較的新しいモデル。
デザインの元ネタはエアフォースワン。
”手作り感あるデコボコソール”以外はマジでエアフォースワンにそっくり。
賛否両論あると思うけど、シュプリームをはじめとするこの「オマージュ・パロディの文化」が俺は大好きだ。
人気の定番モデル4「ベイカー(BAKER)」

"BAKER"Vintage-Like OG Sole Canvas Low-top Sneaker
VANSのオーセンティックをオマージュしたのが「ベイカー(BAKER)」だ。
原型(元ネタ)から大きく見た目を変えることなく、比較的おとなしめな加工となっている。
2023年の新作「ジョージ(GEORGE)」

"GEORGE" OG Sole Mix Material Low-top Sneaker
2023年の春夏コレクションから新たに登場したのが「ジョージ(GEORGE)」だ。
ニューバランスをオマージュしたデザインになっていて、綺麗なグレーの色味もしっかり継承している。
元ネタのニューバランスについては、過去に購入レビュー記事を書いているから良かったら参考にしてみてほしい。
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ニューバランスCM996を購入レビュー【履き心地・サイズ感】
続きを見る
さっそく実物を履いてみたんだけど、ウェインと違ってソールは重めだった。
どうやらメゾンミハラヤスヒロはラインナップによってソールの素材も変えてるっぽい。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーの「履き心地 & サイズ感」について
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーを取り扱っているセレクトショップはあまり多くない。
今回はドーバーストリートマーケット銀座で試し履きしてきた。
「ウェイン(WAYNE)」の履き心地について
結論、思ったより履き心地は良かった。
ボリュームのある粘土ソールだが、おそらくEVA素材でできている。だから想像以上に軽い。
※モデルによってソールの素材は変わります
サイズ感についてだが、コンバースのオールスターとほぼ一緒だった。
オールスターを27.5センチで履いている俺は、メゾンミハラヤスヒロのスニーカーも27.5センチがちょうどよかった。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーの価格について
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーの価格は33,000〜44,000円(公式サイト調べ)
ぶっちゃけ、手軽に買えるような値段ではない。
しかし、メゾンブランドのスニーカーとしてはそこまで法外な価格設定でもない。例えば、メゾンマルジェラのスニーカーは60,000~120,000円ほどする。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーは安くないけど、高くもない。
ちょっと頑張れば買えるくらい。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーはダサい?
「メゾンミハラヤスヒロ スニーカー」と検索すると、関連ワードに「ダサい」と出てきた。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーはダサいのか?
重要なのは”自分がどう思うか”
結論、どう感じるかは人それぞれだ。
人の数だけ好みは存在するし、日本の総人口1億2550万2千人の中の誰かが「ダサい」と感じたとしてもおかしくない。
ネガティブな意見は目立つ
しかし、忘れてはいけないのが「批判意見は目立つ」ということだ。
というのも「良い」と思ったとしてもそれを口に出したりわざわざ口コミに書く人は少ない。だから実は10人中8人が良いと思っていても、その8人はほとんど声をあげないから結果的に残り2人の「悪い」というコメントが目立ってしまうのだ。
人はネガティブなことは吐き出して共有したくなるが、ポジティブなことは自分の心の中に留めておきがち。
だから俺は声を大にして言いたい。「メゾンミハラヤスヒロのスニーカーはダサくない。カッコいい、」と。
メゾンミハラヤスヒロとGUのコラボスニーカーについて
2021年3月、メゾンミハラヤスヒロはGUとのコラボアイテムを発表した。
普段はスニーカー(3万円〜)と、いわゆる高級ブランド路線に生きるメゾンミハラヤスヒロだが、GUとのコラボアイテムは2,000~6,000円とかなり安価。スニーカーに至っては、2,990円だ。
GUとのコラボについて、三原氏は以下のように話している。
「ミハラヤスヒロは凄く小さな世界で生きていて、言ってしまえばマイノリティなんです。そんな僕から見ると、GUという大きなブランドが尊く感じるわけですよ。だって僕らみたいなブランドが頑張ったところで、多くの人には届けられないんですから。だから今回GUさんの力を借りて、僕のクリエイションを多くの人に届けることができるというのは、ファッションで世の中を明るくすることに大きく寄与すると思うんです。」
つまり「今回のコラボは単なるコラボではなく、自分たちのクリエイションを広く世の中に届けるための施策である」ということだ。
実際に発売されたスニーカーの一部を紹介する。

https://www.fashion-press.net/
VANSの「ERA」や「オーセンティック」のオマージュスニーカー。
最もシンプルで使いやすそうなアイテムだ。
ただし、本ラインで出しているような「粘土ソール(オリジナルソール)」は使われていない。当たり前なんだけど、ちょっと残念。

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続いて、メゾンブランドらしいクセのあるスニーカー。
シルエットは革靴に近いものがあるが、キャンバス地で仕上げられている。

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上で紹介したスニーカーのローファー版。
個人的にはこれが一番イケてるなと思った。
付加価値は”知的生産物”であるべき
今回はメゾンミハラヤスヒロのスニーカーについて紹介した。
デザインがカッコいいのはもちろん、三原氏の独特な考え方を色濃く反映したブランドの世界観がとても好きだ。
とあるインタビューで三原康裕氏は「付加価値は知的生産物であるべき」と答えていた。この考え方が本当に好き。
世間一般でファッションが語られる際は「素材がどうだ」とか「シルエットがどう」とか、そういう文脈になることが多い。
そんな中、独特の発想と切り口で勝負しているメゾンミハラヤスヒロは異色の存在だ。
メゾンミハラヤスヒロのスニーカーは、他ブランドの定番スニーカーに+αのアプローチを加えて独自の付加価値を出している。
「粘土ソール」がその代表例だが、この唯一無二感に多くのファッション好きは惹かれるのだと思う。
「付加価値とはなにか?」について、改めて考えるきっかけになった。
YouTube動画で解説