もはや福袋目当ての行列は年明けの風物詩となっている。
しかし、福袋は買ってはいけない。なぜなら「福袋=ゴミ袋」だから。
今回はアパレル業界で働く友人の話を参考に、福袋を買ってはいけない理由を解説する。
アパレルの福袋はゴミ袋
アパレルの福袋は基本的にゴミ袋だ。
なぜなら、福袋の中身は基本的に昨年の売れ残りアイテムばかりだから。
アパレルの友人曰く、「福袋は絶好の在庫処分機会」とのこと。
”福袋”とかいう多幸感あふれるネーミングセンスのせいで「福袋は良いものだ」と勘違いしている人が多いが、福袋の実態は壮大な在庫処分・在庫消化でしかない。
福袋がゴミ袋になってしまうアパレル業界の闇
「福袋の実態がゴミ袋」となっているのにはアパレル業界の闇が深く関わっている。
まずはアパレル業界のビジネスモデルから理解する必要がある。
仕入れて売る
アパレルショップのビジネスモデルを端的に言うと「仕入れて売る」だ。
別にこれはアパレル業界に限ったことではなくて、小売業界なら皆同じようなビジネスモデルになっている。
アパレルは在庫リスクが高い
アパレル業界が他と違うのは、在庫リスクがえげつなく高いことだ。
あなたはパレートの法則を知っているだろうか?
別名を「80:20の法則」とも言い、売上げの8割は2割の商品に依存することを指している。
お店に並んでいる商品のうち、本当に売れているのは全体の2割で、残りの8割はほぼ売れない。
故に大量の売れ残りが発生する。
流行遅れの服は売れない
そして、特にアパレル業界は流行り廃りのサイクルが早い。「ファッション=流行」という言葉の通り、人々が求めるデザインはものすごいスピードで変化していく。
今年の夏に売れ残った洋服が来年の夏にまた売れるなんてことはほぼないのだ。よって大量に売れ残り在庫を抱えてしまうと永遠にそれらの商品は倉庫に積み上がっていくことになる。
在庫は負の資産
ちょっとむずかしい話だが、会社経営において在庫は資産として扱われる。
在庫は期末に会社の棚卸資産となり、貸借対照表上では資産として計上される。販売できない在庫が増加するとキャッシュフローは悪化していく。会社の業績に関わる深刻な問題だ。
会計上の問題だけではない。売れ残った在庫を保管しておくために倉庫を借りるための余計なコストがかかることは安易に想像できる。
福袋は聞こえが良い在庫処分
長くなったが、とにかくアパレル業界は在庫を抱えることを極端に嫌うのだ。
だからアパレルにとって、福袋という聞こえが良い在庫処分機会はマストなのだ。
洋服にも賞味期限がある
福袋というクソイベントが出来上がる背景は理解してもらえたと思う。
しかし、いち消費者である我々がアパレル業界のために尽くす必要はない。一切ない。
なぜなら、洋服にも賞味期限があるからだ。
ファッション=流行
前述の通り「ファッション=流行」だ。そして流行に乗り遅れた人間は「ファッションセンスがない人」という烙印を押されることになる。
福袋に入っていた去年の夏の売れ残りアイテム(流行遅れ)なんて着れたもんじゃない。
1万円で総額5万円相当! ⇒「それって本当?」
福袋の売り文句としてよく使われるのが、「◯円相当」だ。
「1万円の福袋を買うと定価5万円相当のアイテムが入っていますよ」なんて売り文句は一見するとお得に聞こえるかもしれない。
しかし騙されてはいけない。
モノは現在価値で考えよう
モノの価値は定価ではなく現在価値で考える必要がある。
たしかに定価計算すると5万円相当なのかもしれないが、売れ残った商品という観点から”現在価値”で考えると妥当かそれ以下であることがほとんどだ。
1万円の福袋には、現在価値で1万円(もしくはそれ以下)しか入っていないのが普通だ。
福袋の中身がクソでも(企業は)ノーダメージ
「福袋の中身がクソだと悪評が立つのでは?」「企業にとってもマイナスなのでは?」と疑問に思うかもしれない。
しかし、実は福袋の中身がいくらクソでも企業にとってはノーダメージなのだ。
なぜなら、普段から買い物に来る”常連”と”福袋を買う層”は別だから。
普段から買い物に来ているお得意様(常連)は基本的に福袋を買わない。
その理由は2つある。
アイテム被りの恐れ
1つ目は、アイテム被りが発生するかもしれないからだ。
今年の夏に買ったTシャツと同じものが入っているかもしれない福袋をあなたは買うだろうか?
実際に、アパレルで働いている友人曰く、基本的に常連さんは福袋は買わない傾向にあるそうだ。
福袋を買う客層は常連ではない
2つ目は、価格だ。
福袋は、定価よりも安くアイテムを手に入れることができるチャンスだ。
「定価では高くて手が出せないけど、福袋ならお得だし試しに買ってみるか」というのが福袋を買う客の心理。
福袋を買う層は普段から買い物に来る層(お得意様)ではないので、例え福袋の中身がクソすぎて「二度と買わねぇよ!」となったとしても大したダメージはないわけだ。
【救い】本当にお得な福袋も存在する
福袋について、さんざん酷評してしまったが、一応の救いとして本当にお得な福袋も存在している。
それは、中身が公表されている福袋だ。
予め「こんなアイテムが入っていますよ」と中身を開示している福袋に関しては、企業が客寄せのために用意した目玉商品であり、在庫処分ではなく本当に人気のアイテムを安く買えるチャンスであることが多い。
中身を公開したほうが宣伝効果が高い
せっかく本当にお得なら、中身を公開してしまったほうが宣伝効果が高いし、むしろ公開しない理由がない。
逆に中身を隠している福袋に関してはほぼ100%売れ残りの詰め合わせだ。
隠すってことはつまりそういうことなのだ。
福袋をクジ袋として楽しむのなら問題なし
福袋で得をしようと思ってはダメだ。
逆に、クジ引き感覚でワクワクドキドキを楽しむために買うのならアリだと思う。
ようはガチャガチャと一緒。
YouTuberがこぞって福袋を紹介
ガチャガチャは200円〜500円だから、ケタが1つ違うが、それでも年始の楽しみとして買うのなら否定はしない。
毎年のようにYouTuberが福袋開封動画をアップしている理由は、視聴回数が取れるから。
つまり、それだけ人々の福袋への関心度は高いのだ。
新年こそ財布の紐を固くすべし
今回は福袋はゴミ袋というテーマで話してきた。
「新年だし、いいか!」と財布の紐をゆるくする人が多すぎる。新年こそ財布の紐を硬くすべし。
「迷う理由が金額なら買え。買う理由が金額ならやめとけ」
この言葉を脳みそに叩き込んで、新年を迎えてほしい。